第1 なぜ今このテーマか?
当事務所に所属している弁護士は、かれこれもう弁護士歴でいうと「新人」とは言えない状況にある。ついこの前、司法修習を終えたような気もしているが、気がつけば、あっという間に年月は過ぎてしまっている。
それを実感するのが、後輩弁護士や司法修習生から質問を受ける時だ。
特に、ビジネスでの身だしなみについて聞かれると、「そうか、もう教える側にもあるんだな」と思うことがある。
そこで、以下では、新人弁護士がこれから社会に出るにあたり、あった方がよいと思う物を紹介しよう。
第2 おすすめアイテム
1 スーツ
まず、これを買わない人はいないだろう。
弁護士というと、
パリッとしたスーツに身を包み、パソコンを叩く
イメージを持つお客様も少なくない。
ある程度カジュアルな格好も認められる現在ではあるが、今もなおスーツの印象は強い。
こればかりは、マストアイテムと言っても良いかもしれない。
とはいっても、その価格帯は様々。
1万円台から着られるものもあれば、上は数十万円から数百万円までするものも。
また、既製品を選ぶのか、セミオーダーか、フルオーダーか、という選択もある。
個人的には、値段というよりも体型に合ったものを選ぶことをお勧めする。
時折、ブカブカやパツパツのスーツに身を包んだ司法修習生や新人弁護士に出会う。
しかし、体型に合ったスーツを着れば、値段にかかわらず立派に見えるものだ。
まずは、セミオーダーでも良いので体型に合ったものを数着所持してみたらどうか。
なお、所内3名の弁護士間でも、意見は分かれている。
筆者は、憧れてゼニアの「15milmil15」を買ったが、やはりその生地の質感には魅了される。
しかし、結局のところ週に1回も着ない。尋問の時にも着ない。
霞ヶ関の裁判所に毎日のように行くと、あっという間に股を破いてしまうからだ。
現在は、「Traveller」や「LOOP」辺りで落ち着いている。
毎日着ることもあるし、最低でも3着は用意した方が良いだろう。
2 革靴
これもまた、スーツに比べ所内でも意見が分かれた。
私見だが、スニーカーやローファーはビジネスにおいてあまり好ましくないように思う。
時折、ビットローファーを履いている方も見かけるが、お勧めはしない。
中には、痛風が辛いからと、法律相談においてサンダルで参上する強者もいるらしい。
ストレートチップか、ダブルモンクストラップの2択であれば無難であろう。
あとは、こちらも価格帯が気になるところだろうが、あまり気にしない方がよいと思う。
私見だが、スーツと同じくらいの値段のものであれば、マッチするのではなかろうか。
つい先日、筆者の古巣の代表を務める有名弁護士が、「エドワードグリーン」の靴を履いていた。
一目でその質の良さがわかった。そしてその手入れの良さ!!!実に美しく品があり、そしてかっこいい。
スーツよりも、良し悪しがわかりやすいかもしれない。
足元から見られる可能性は、よく理解しておいて欲しい。
お勧めとしては、リーガルやジャワンスリヴァヤといった比較的手の届きやすいところから、
オールデン、クロケット&ジョーンズ(超おすすめ!!)、そしてエドワードグリーンとジョンロブ。
これらは頑丈であり、しっかりメンテナンスをすれば何十年も履くことができる。
そして、スーツと異なり、体型の変化の影響を受けないのは、革靴の強味である。
ただ、痛風になると革靴を履くことが苦痛であると、後輩の弁護士は言っていた。
3 腕時計
⑴これまた、所内でも意見が分かれるアイテムが「腕時計」。
近年では携帯電話があるので、わざわざ腕時計など着用しなくても時間は確認できる。
そのため、腕時計をしない人というのも増えてきている。
私は、腕時計をすることをお勧めする。
やはり、携帯電話で時間を確認することはスマートではないからだ。
皆さんも、至る所でスマートフォンを操作する人を見ることがあると思う。
しかし、それが時折不自然だったり失礼だったりすると思うことはないだろうか。
ラーメン屋でスマートフォンを見ながら食事をしたり、会話の際も操作したり、駅のホームで歩きスマホをしていたり。
そういう光景が不自然に見えるのであれば、やはり腕時計を持っていた方がよい。
では、どのような腕時計が良いのだろうか。
これについても、所内で意見が分かれていた。
特にスマートウォッチの扱いである。
私個人は、かまわないと思うことが多い。便利だし、体調管理にも役に立つ。
他方、高齢の方との会合の際には確かに気を遣うことがある。
特に、メールやラインの受信の際、メッセージが表示されるからだ。時折、ピコピコと通知がきてしまうので、うっとうしいこともある。
そのため、スマートウォッチではなく、アナログな腕時計をお勧めしたい。
⑵では、どんな時計が良いのだろうか。
私は、「3針」をお勧めする。
デジタル式(液晶で時刻表記されるもの)はお勧めしない。
時折、スーツに「G-SHOCK」を身につけた方にお会いするが、ちょっとなあ、と思う。
「3針」とは、時針、分針、秒針の3針のみが付いた腕時計である。
この3針以外にも、GMTや積算計、クロノグラフといった4本以上の針が付いていることがある。
あまりごちゃごちゃしていてもわかりにくいし、3針で十分だろう。
日付や曜日が表示されるものもあって良いだろう。
価格帯は問わないが、
・ロレックスの「デイトジャスト」「エクスプローラー」
・オメガの「スピードマスターアクアテラ」
・SEIKOの「プレサージュ」
辺りが、イメージしやすい。
これと似たものであれば、 安い他のメーカーのものを購入しても良いだろう。
筆者の元上司は、パテックフィリップ「カラトラバ」を着用していた。
まさに、最高峰中の最高峰である。
機械式か電池式か、自動巻きか手巻きか、といった話は、バーや飲み屋で筆者を見つけ時にでも是非してもらいたい。
4 カバン
カバンについては、法律相談の際にはほとんど見られることがない。
そのため、あまり意識したことがない方も多いだろう。
こちらに関しては、容量をとるのもいいし、見た目のスマートさをとるのもよい。
リュックサックを用いる弁護士もいれば、徹底して革カバンを用いる弁護士もいる。
ただ、派手なカバンは控えた方が良いだろう。
色が派手だったり、ブランドのロゴが全面的に入っていたりするものはお勧めしない。
シンプルで良いので、黒い無地のカバンを選んだ方が良いだろう。
たまに、同僚の弁護士と居酒屋で話をするとき、彼らのカバンにはひっかき傷があることに気づく。
どうも、飼っている猫が爪とぎに愛用しているそうだ。
5 ペン
ペンは、法律相談の際や外部での打ち合わせの際にも、相手に見られることが多い。
消耗品であるから安いものでもよい、という考えもあるかもしれないが、弁護士が使うペンというとこだわってもよいのではないだろうか。
司法試験の受験生の頃、周りでも万年筆を使っている人を見たことがあるかもしれない。
ただ、万年筆は手入れが難しいし、手が汚れることもあるので、私はボールペンを使用している。
また、この業界に入ってみると、不思議とペンにこだわっている人に出会うことが少なくない。
ペンが大好きで、何本もコレクションしている人を知っている。
特に、モンブランやパーカー、ペリカンといったものを愛用している人には、よく出会う。
私も、モンブランのマイスターシュテュックを愛用している。
第3 終わりに
いかがだっただろうか。
これらは、いずれも一部であり、こだわればほかにもいろんなものがある。
筆者の最近のこだわりは、「カフリンクス」だが、最近では年配の方を除き着用している方を見なくなった。
時代とともにこだわりが変わることは仕方ないが、昔ながらの弁護士像というのも、たまには思い出してみたいものだ。
あくまでも私見ではあるが、モンブランに行けば、ビジネスに必要なものはほぼすべて手に入るように思う。
ぜひ、足を運んでほしい。